【開催報告】世界一・中秋陽一シェフ直伝パテ・クルート 実演と試食の特別会
フランス料理の前菜のなかで、ひときわ静かな存在感を放つ一皿があります。
パテ・クルート
肉を練り、層を設計し、生地で包み、焼き上げる。
ただの前菜ではなく、技術・思想・時間が凝縮された料理です。
高級レストランのコースで供され、一方でフランスではブーランジェリーにも並ぶ。
ではこれは高級料理なのか、郷土料理なのか。
なぜデパートでは滅多に出会えないのか。
そして――なぜ、作り手が変わると味も表情もまったく別物になるのか。
今回の特別会では、その問いを「世界一の料理人」に直接投げかけます。
世界一の技、その核心へ講師は、東京・湯島「ア・ターブル」中秋陽一シェフ。
2025年10月、フランス・ロモランタン=ランチュネーで開催された「リエーブル・ア・ラ・ロワイヤル世界大会2025」、ジビエ料理の最高峰とされるこの世界大会で日本人シェフとして初の世界一を獲得。
審査委員長はM.O.F.、審査員にはミシュラン三ツ星・二ツ星の名だたる料理人たち。
その舞台で頂点に立った中秋シェフが、今回はパテ・クルートの本質を語ります。
「作るところを見る」という、稀有な体験パテ・クルートは、冷蔵管理、広い作業スペース、繊細な工程を必要とするため、仕込みの現場を見る機会がほとんどありません。
今回は特別に、・構造・工程・味の設計・個性の出し方を、実演を交えて体験していただきます。
そして、食べる。
中秋シェフ曰く、パテ・クルートは「単品で完結する料理」。
そのため、他の料理は出しません。
付け合わせは添えますが、主役はただ一つ。
この日のために用意された特別なパテ・クルートを、存分に。
もちろん、ワインもたっぷりご用意します。
知るほどに、一切れごとの味わいが変わり、理解とともに美味しさが深まっていく時間です。
というわけで3月8日(日)、中秋陽一シェフを迎え「パテ・クルート」に特化した特別会を開催いたしました。
パテ・クルートは、単なる「肉のパイ包み」ではありません。肉を練り、層を設計し、生地で包んで焼き上げる。実演中、中秋シェフが何度も口にされた「組みあげる」という表現がそれを表していたように思います。
ここで、当日参加できなかった皆様にクイズです。
生地を型に入れる際、最も「慎重に」合わせるべきサイズの状態はいつ?
シェフが、かつて情報の少ない中で編み出した補強の一工夫とは?
実演では、プロでも頭を悩ませる「肉の水分」と「焼き温度」のバランスについて参加いただいていたプロの料理人さんとの間で詳細な議論が交わされていました。
「生地は180度、中は70度」という、異なる理想温度を一つの型の中でどう共存させるか。
焼成中にどうしても出てしまう肉汁を、どうコントロールし、角のスペースを埋めていくのか。
中秋シェフがパテクルートに取り組まれた当初は世界的にも本当に情報が少なく、YouTubeなども駆使して独学で道を切り拓いていったエピソードなど和気藹々としつつも、実演とお話の濃い時間でした。
焼き上がり、しっとりと馴染んだパテ・クルートを試食する時間は、かかっている技術・思想・時間が凝縮されたその一切れを味わう文字通り実食の時間となりました。







