~常温にこそ宿る、無窮の美~
参宮橋のJGAキッチンで、島根県出雲市の板倉酒造を迎えた「天穏の会」を開催いたしました。東京では大手酒販店にあまり流通せず、入手困難でありながらも日本酒愛好家たちから根強い支持を集める「天穏」。
今回は特別に、9種ものお酒をご用意いただき、蔵元・江角杜氏自らもご参加いただきました。
◾️主催の佐藤理事(酒匠)・・・・・
メインに据えたのは「無窮天穏」シリーズ。生もと仕込みを基軸とし、古典的な製法の中にある革新性、時間によって育まれた味わいの奥行きを感じるラインナップです。
本会ではすべての酒を「冷酒」と「お燗」の2温度帯で提供。しかし、当日、江角氏の「常温が美味しいんです」の一言で会場の空気が変わりました。実際に常温にすると、酒の持つ旨味が最も自然に開き、冷酒の緊張感やお燗の輪郭とはまた異なる、柔らかく調和した味わいが際立ちました。
お燗も一筋縄ではいきません。温度の変化に非常に敏感で、雑に燗をつけると酸や雑味が顔を出します。丁寧な湯煎でじっくり仕上げることで、口当たりは驚くほど滑らかに、ふくよかな旨味が静かに広がる極上の一杯となりました。
料理は、いわゆる居酒屋メニューではなく、フレンチをベースに繊細な酒の個性と呼応するよう構成。特に印象的だったのは、「無窮天穏 齋蔵 H30」と「ヒラメのブールブランソース」の組み合わせ。クラシカルなフレンチのソースと、熟成を経た生酛の無濾過原酒が見事に呼応し、味わいの中に物語性すら感じるペアリングとなりました。
◾️料理の松崎理事(栄養学博士、料理家)・・・
今回は、当初よりフレンチベースの料理で、というテーマでした。
これまで、いろいろな酒蔵さんのお酒とのペアリング料理を担当させていただきましたが、お酒がとても綺麗な作りのため、どうしても和食のイメージに引っ張られ、多分一番難易度が高い会となりました💦
フレンチベースではあるものの、日本酒の苦味を生かすため、友人の山菜ハンターに依頼し、山梨の天然の山菜を取り入れたのも喜んでいただけて良かったです。
その中でもヒラメのブールブランソースとのペアリング、いちごのソルベとのペアリングがお気に入りでした。みなさまに楽しんでいただけたようで、良かったです。
【無理をせず、丁寧に──板倉酒造の哲学】
板倉酒造の酒造りには、いわゆる「特別な設備」はありません。サーマルタンクすら持たず、ほとんどの酒は生酛仕込み。酵母無添加という、失敗のリスクを伴う難しい方法を貫き、しかも低アルコールや水酛といった革新的な挑戦も積極的に行っています。
それにもかかわらず、天穏の酒はどれも、優しく澄んで、深みがありながら雑味のない仕上がり。江角氏いわく、「無理をしないこと」が何より大切とのこと。製造も販売も、無理せず、急がず、丁寧に作り続けていくこと。だからこそ石高(年間生産量)も安定し、日本酒業界が苦境にある昨今でも着実に支持を広げ続けているのです。
今後も、このような真摯な酒造りと誠実な哲学を伝える場として、板倉酒造との定期的なイベントを企画してまいります。
1、「無窮天穏 天頂 R3」と
新玉ねぎと生ハムのケークサレ
チーズフィナンシェ
2、「天穏 純米吟醸 改良雄町R3」
酒粕クリームチーズ、酒盗 真鯛 芽ねぎ
3、「天穏 土雲 生もと純米大吟醸」と
7のジュレとアジの刺身、生姜
4、「無窮天穏 水母 生もと純米吟醸大吟醸R4」
牡蠣のチーズオーブン焼き
5、「無窮天穏 齋蔵 生もと純米吟醸大吟醸H30」と
魚介のソテー ヒラメのブールブランソース 山梨の天然クレソン
6、「無窮天穏 斎香 生もと純米大吟醸 R4」と
和牛焼き 赤ワインソース 山梨の天然三つ葉とこごみの天ぷら
7、「無窮天穏 天雲 生もと純米大吟醸R4」と
特製天穏酒粕ラーメン、ウゴキご飯
8、「無窮天穏 斎香 生もと純米大吟醸 生原酒R6」と
いちごのソルベ



乾杯からいよいよ”異次元のコラボ”が始まります

チーズフィナンシェ








