銀座の「はち巻岡田」は、1916年(大正5年)に創業し、数々の文人や政財界の重鎮に愛されてきた店である。
料理は、今は希少となった江戸料理を出す。
こっくりとした甘辛い味付けながら、毅然とした格が潜んでいる。
それでいて気取りのない、江戸の味である。
知る限り江戸の味を継ぐ店は、ここと四谷の「たまる」、神楽坂の「山さき」と「めの惣」しかない。
「私は、東京生まれの人が経営している銀座裏の小料理屋が好きなのであって、そこが「岡田」に通う最大の理由である」。
贔屓であった山口瞳は、かつてこう綴った。
代を継がれた主人は、れっきとした東京の人であり、3代続く江戸っ子である。
寡黙だか、仕事は的確でブレがなく、ともかく早い。
滋味が体の隅々へと行き渡る「岡田茶わん」。
何気ないようでいて、味がピタリと決まった「納豆和え」や「春菊のお浸し」。
カリリと揚げられた衣と豆腐の柔肌との対比が妙味を生む「豆腐のくず揚げ」。
海老の優しさが生きた「しんじょう揚げ」。
揚げて土佐醤油で和えたタラの芽の突き出し。
合わせ酢の塩梅に緩みがない「もずく酢」。
細く切られた豆腐が、ひんやり、ふわりと舌の上を滑り喉に落ちていく、清涼を呼び込む滝川豆腐。
刺身の引き方がや大きさが、これ以上でも以下でもなく、実にほどがよく、ほっこりと心を温める。
どれもうま味がいきすぎてなく、さらりとうまい。
これこそが品であり、粋である。
あえて一言で表すなら「地味」であろうか。
それは派手の対語ではなく、地に足がついた味である。
渋く輝く料理に、垢抜けた、張りのある色気が漂う。
江戸料理とはそういうものではなかろうか。
「はち巻岡田」。
もし東京に住んでいて、この店の魅力を知らぬなら、それはまだ東京のことを知らぬということである。
参加資格は日本ガストロノミー協会会員(旧賛助会員)のみ。 参加希望の方は下記FBからお願いします(現在満員締め切り)。
【FB:会員限定企・マッキー牧元と行く「はち巻岡田」】
その後、もし枠があれば一般の方も募集するかもしれません。一般の方も会員になっていただくと、今回のような優先予約、会員のみのイベントなどを用意しております。これを機会にぜひ会員登録をお願いいたします。
https://www.japangastronomy.com/membership#section-about
開催2日前以降のキャンセルの場合は、キャンセル料をご負担いただく場合があります。
【概要】
■日時:2月27日(月)、19時00分から
■募集人数 : 5名
■会場:「はち巻岡田」
東京都中央区銀座3-7-21
■会費:予算1.5万(料理代)